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  • 2008.11.03 Monday
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ヘレン、ようこそどうぶつえんへ

小学校では、理科で昆虫の学習をしますし、生活科でも昆虫と触れ合う時間があります。
そんなこともあって、子どもたちは、トンボやチョウ、バッタなどは身近に感じているようです。カブトムシやクワガタなども好きですよね。(ぱいぽはカブトやクワガタは大丈夫ですが、他の弱々しい昆虫は苦手です)

では、クモ(蜘蛛)は?
理科の時間での扱いは、「体が2つに分かれていて、足が8本なので昆虫ではない」というだけ……。昆虫と違い、クモを飼育してみましょう、なんて、どこにもありません。

あの顔を拡大した写真を見ただけでも、クモが好きな人はめずらしいかも知れません。
歩いていてクモの巣が顔にひっかかったりするのなんか、いやだし……。

文学のなかでも、あまりいいようには書かれていません。
「ダレン・シャン」では、マダム・オクタというクモを飼っていますが、強烈な毒をもつ毒蜘蛛だし……。

もしかしたら、この本を読むと、そんなクモやクモの巣に対する見方がちょっぴり変わるかもしれません。

1年生から読みました。年長さんでも大丈夫だと思います。

とびらの絵で、男の子が箱をかかえて歩いていくところから話は始まります。
この、とびらから話が始まる手法を、作者のマーガレット・ブロイ・グレアムさんは、よく使っています。あの「どろんこハリー」の作者でもありますが、それでも同様でした。

男の子が動物園の前に置いた箱の中には、引っ越すことになったため飼えなくなったペットがいました。名前はヘレンです。
箱を開けると、とびだしたのは、クモ。
ヘレンは、クモだったのです。

つかまえようとする園長さんの手をするりと逃げたヘレンは、動物園のいろいろな動物のおりの中に網をはり、たくさんいるハエたちを食べ始めました。
それまでハエに悩まされていた動物たちは、大喜び。それまでとはうってかわって、のびのびとし始めます。
…ところがある日、市長さんの視察が来ることになりました。
そこで、クモのすまで徹底的になくしてしまう大掃除が始まりました…。
クモのすをはらわれたヘレンはかくれてしまいます。

実は、大掃除を始めるとき、動物園のおじさんのジョーくんが言ったのです。
    
   「クモだって なにかの やくに たつはずです」

でも、園長さんは、

   「クモの すは ふけつに みえる だけだよ。」

園長さんは、動物たちがのびのびと生き生きとしているのは、自分たちの力だけだと思ってしまったのです。

その結果起こったことは、園長さんが思いもしなかったものでした。

やがて、園長さんがクモの重要性に気づいて、この物語は、ハッピーエンドを迎えます。

人間がその場その場を快適に過ごすために行ったこと、その場をしのぐために行ったことは、大きな目で見ると大きな問題のあることがあるのだ、ということも伝えているように感じるのは大人の深読みかな(^^ゞ 

それは、さておき
この本、ストーリのおもしろさもさることながら、絵もとても楽しいです。
ヘレンが来る前のおりの中の動物の困っている様子と、後ののんびりした様子など、小さい子にもはっきりわかるようかきわけられています。

そして、読者が見たいと思うものがすべてきちんとかきこまれています。
小さい子どもは、文に書いてあることを絵の中で探そうとし、それがかかれていないと、本そのものに興味を失ってしまうことがあるのですが、この本はそういうことがありません。
だから小さな子であっても満足してみていけるのだと思います。

……しかし……引っ越してもクモぐらいかえると思うのですが……それに、こんなにハエがいるって、掃除がもしかして足りないんじゃないの?……そんなふうに私はつっこんでしまうところがあるのですが、これまで読んだなかでそれを指摘した子どもたちはいませんでした。

いずれにせ、子どもたちのクモに対する意識をちょっとだけかきまわす1冊です。


ヘレン、ようこそどうぶつえんへ
マーガレット・ブロイ・グレアム/さく・え とものふゆひこ/やく
出版社名 キッズメイト
出版年月 2000年6月
ISBNコード 4-907822-00-6


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はなをくんくん

年中さんぐらいから読みました。

札幌では、今年は雪解けが早いようです。
この間、車道の地面があらわれていたの見てなのか、娘が、
「春のにおいがする。」
と、ちょっとはねながら歩いて言いました。
散文的な娘にしては、珍しく詩的な言葉です。
「春のにおいってどんなにおい?」
と、聞くと、
「う〜ん、ふきのとうのにおいかな?」

実際には、ふきのとうはまだまだではないかと思うのですが、春がそこまで来ているうきうきした気分は十分にわかりました(^^)

そして、この娘のひとことで、春のよろこびをあらわした本として、あまりに有名な一冊を思い出しました。

「はなをくんくん」

白い画面に黒だけでかかれた絵。

雪が降っている野山。
動物たちが眠っています。

動物たちは目を覚まします。
はなをくんくんさせて。

そして走り出します。
はなをくんくんさせて。

やがて,動物たちがぴたりと止まり,
笑ったり踊ったりしたその中心には,
……これだけが黄色でかかれた,あるものが!

詩のような文,黒の濃淡でかかれたやわらかい絵。

春を迎える歓びをあますところなく表現していて,
ほっこり幸せな気持ちになります。

子供たちに読んでいくと,動物たちが眠っているところからぐんとひきこまれていくのがわかります。
広い画面のいろんなところに動物たちたちが眠っていて,雪の下の野山も実は生命でいっぱいだと自然に思えます。

その動物たちがみんな小さな春のいぶきを感じ取って走りだすのです。

そして見つけた春のしるし!
なんてすてきなんでしょう。
そう思って子どもたちを見ると、みんなにっこりしています。

特におもしろいストーリーがあるわけではないのですが,心に残る1冊です。

「ふゆめがっしょうだん」を読んであげた子が,木々の冬芽を見つけ、
「ふゆめがっしょうだん,見つけたよ」
と,教えてくれたように、
ふとしたときに、日常の生活をゆたかに思える本があるっていいなあ、と、思うこのごろです。

はなをくんくん
世界傑作絵本シリーズ
ルース・クラウス/ぶん きじまはじめ・やく/え マーク・サイモント/え
出版社名 福音館書店
出版年月 1980年
ISBNコード 4-8340-0095-8
税込価格 1,050円
頁数・縦サイズ 1冊 31cm


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くっくです。この名前、鳥ということでつけたほかはなんの意味もありませんが、気にいってます。カウンターの数字は「スランになりたいな」からのものです。数字が消えてしまうのはちょっと悲しかったので……。「スランの本棚」のカウンターはこれから7700をひいたものです(^^ゞ

キアです。ヴォクトの「スラン」に出てくるなかなか重要な登場人物キア・グレイの名前から拝借しました。ペットの名前に使われたと知ったら怒られそうです。
スランについて
ブログ「スランの本棚」のスランはヴォクトの古典的名作SF「スラン」からとりました。 スランというのは、新人類で、人の心を読むことができたり、知覚力や知力が現(?)人類よりはるかにうわまわっています。迫害され、表舞台からは姿をけしています。主人公のジョン・トマス・クロスはまだ9歳のスランの少年。人類や無触毛スラン(スランには触毛があるんです)に対して憎悪を持ちながらも、成長し能力が成熟していくなかで共存の道を模索していきます。 ね、なかなかいい感じでしょう。 前の「スランになりたいな」を始めるときに、たまたま「スラン」を読み返していたため勢いでつけました。勢いでつけたわりには気にいっています。 でも、この「スラン」絶版になっています。さびしいなあ。 ちなみに、昔アニメにもなった竹宮恵子の「地球へ」の主人公、ジョミーは、この「スラン」の主人公ジョン・トマス・クロス にちなんでいるそうです
                
こんな本もいいな
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