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  • 2008.11.03 Monday
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おおきなきがほしい

小学校低学年から読みました。
もうちょっと下でも、絵を楽しめる子ならいいかもしれません。

佐藤さとるの「だれも知らない小さな国」などコロポックルのシリーズを読みふけった時期がありますが、その本でもさし絵は村上つとむでした。佐藤さとると村上つとむ、名コンビだと思います。

その二人の絵本。
絵がすばらしくても主は文、という絵本が少なくないなか、この本は佐藤さんの文が欠けても村上さんの絵が欠けてもこれほど魅力的なものにはならなかっただろうなあと感じます。ふたりのよさが、それぞれ思う存分発揮されて、自転車の両輪のように本を作っています。

「おおきな おおきな 木が あると いいな。ねえ おかあさん。」
というかおるのことばから、絵本ははじまります。

うーんと太くて家族みんなでかかえられるような大きな木があったら、どんなことができるだろう、とかおるくんの想像はどんどんふくらんでいきます。

あぶなくないように、しっかりはしごをかけて……
木の幹のほらあなの中のはしごをのぼると、
ちいさな可愛い部屋が……。

木のてっぺんの方の見晴らし台から見える景色や風の様子。
ここは、佐藤さとるの文描写ののすばらしさが際立っています。まるで、自分も風を受けてそこにいるような感じ……。

そして、部屋の中の様子は……村上つとむの想像力のすごさを感じます。

細かいディテールまで書き込まれた、夏・秋・冬・春の部屋の様子……。
絵をよむのが好きな息子は、この4つの季節の絵を見るのが好きです。ゆっくり時間をかけて、いろいろなものを見つけています。

そういった様子をみると、この本はたくさんの子に見せるというより、子どもといっしょにじっくり読む本なのかなと思います。
大勢に読むときは、あとで手にとる機会を是非とりたいものです。

かおるは考えた木(と、それに付属する部屋や見晴台やはしご)の絵を、帰ってきたおとうさんに見せます。

その絵は、本の見返しにかかれています。
私の子どもころ、秘密基地をつくるのが流行り、下宿をしているおじいさんを持つ友達といっしょに、空き部屋にちょっとの間基地をつくったことがありました。
そのとき、私もやっぱり部屋の見取り図や設計図を描いたなあ、なんてことを、思い出しました。
見ているだけで、わくわくしてしまう絵です。

秘密基地づくりに夢中になるのは3年生ぐらいからが多いことを考えると、その年齢にもおすすめかも……。
どの年齢の子も、大人も楽しめる本ということかもしれません(^^ゞ

そうして、最後のページには、おとうさんと植えた、とても大きくなる木に水をやるかおるの姿が……。

まだ小さな木の様子を見ると、かおるがお父さんやおじいさんになったときに、その木で子どもや孫がかおるの夢をかなえてくれるのじゃないかな、それともかおるもその時、いっしょに部屋を作ったりするのかな、と想像してしまいます。

息が長く、有名な1冊。20年前に友人からすすめられてはじめて読みましたが、何回読んでも、そして今読んでもやっぱりわくわくします。

おおきなきがほしい
創作えほん 4
佐藤さとる/ぶん 村上勉/え
出版社名 偕成社
出版年月 1971年
ISBNコード 978-4-03-330150-1
(4-03-330150-X)
税込価格 1,050円
頁数・縦サイズ 1冊 26cm


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だくちる だくちる −はじめてのうた−

こんなに美しいひとときがあったんだと、思える本。
声を出さなくても音がこれだけ鮮明に感じられる(聞こえる)本は、そうはないでしょう。
はじめ、大人向けかと思ったのですが、年長さんぐらいからでも大丈夫のようです。

人間が生まれるずっと前、恐竜の時代のお話。
「どがーん どがーん」と噴火する山の音だけで誰の声もしない世界にイグアノドンがいました。

   イグアノドンは さびしかった

ある日、小さなプテロダクチルスがとんできました。
巨大なイグアノドンに比べて小さな小さな、ほんとに小さなプテロダクチルス。

   だくちる だくちる

とは、このプテロダクチルスの声。

   ちいさな ともだち みつけた

この「だくちる だくちる」は、イグアノドンが「どがーん」のほかに初めて聞いた音でした。

   だくちる だくちるる
   だくちる だくちるる

小さな友達は「だくちる」のほかに何も言えなかったけど

   イグアノドンは うれしかった

イグアノドンの喜びの表現がとてもすてきです。

   うれしくて うれしくて どんどんうれしくて

   もう どんどん ばんばん うれしかった

これに長新太さんのあたたかい絵が加わると、もう胸がじいんとしてきます。
長さんのイグアノドンはシルエットだけで表現されているのですが、ちゃんと気持ちがつたわってきます。色使いも茶から生命にあふれた色へと変化していくのです。
ページをめくるごとに、「だくちる だくちる」という音が聞こえてくるような気がしまう。

どんなにか、寂しかったイグアノドン。どんなにか、この小さな友達を大切に思っているのでしょう。

友達だからこそ、イグアノドンの心を動かしたからこそ、
「だくちる だくちるる」は、

   はじめて ちきゅうに うまれた
   いちばん はじめの うただった

のでしょう。

ほうっとため息が出る一冊です。

だくちるだくちる はじめてのうた
日本傑作絵本シリーズ
阪田寛夫/文 長新太/絵 V・ベレストフ/原案
出版社名 福音館書店
出版年月 1993年11月
ISBNコード 978-4-8340-1220-0
(4-8340-1220-4)
税込価格 1,365円
頁数・縦サイズ 1冊 32cm


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くっくです。この名前、鳥ということでつけたほかはなんの意味もありませんが、気にいってます。カウンターの数字は「スランになりたいな」からのものです。数字が消えてしまうのはちょっと悲しかったので……。「スランの本棚」のカウンターはこれから7700をひいたものです(^^ゞ

キアです。ヴォクトの「スラン」に出てくるなかなか重要な登場人物キア・グレイの名前から拝借しました。ペットの名前に使われたと知ったら怒られそうです。
スランについて
ブログ「スランの本棚」のスランはヴォクトの古典的名作SF「スラン」からとりました。 スランというのは、新人類で、人の心を読むことができたり、知覚力や知力が現(?)人類よりはるかにうわまわっています。迫害され、表舞台からは姿をけしています。主人公のジョン・トマス・クロスはまだ9歳のスランの少年。人類や無触毛スラン(スランには触毛があるんです)に対して憎悪を持ちながらも、成長し能力が成熟していくなかで共存の道を模索していきます。 ね、なかなかいい感じでしょう。 前の「スランになりたいな」を始めるときに、たまたま「スラン」を読み返していたため勢いでつけました。勢いでつけたわりには気にいっています。 でも、この「スラン」絶版になっています。さびしいなあ。 ちなみに、昔アニメにもなった竹宮恵子の「地球へ」の主人公、ジョミーは、この「スラン」の主人公ジョン・トマス・クロス にちなんでいるそうです
                
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