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  • 2008.11.03 Monday
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おにたのぼうし

低学年から読みました。昔、3年生の教科書にのっているのを見たことがあります。

節分の夜。
気のいい、小さなくろおにの子「おにた」は、住処に豆まきをされ、出ていくことになりました。

「人間っておかしいなあ。おには悪いって決めているんだから。おににも、いろいろあるのにな。」

つのかくしの古いむぎわらぼうしをかぶって雪のまちを歩きまわり、ようやく豆やヒイラギのない家を見つけました。

そこは女の子と病気のお母さんが住んでいる貧しい家でした。食べるものひとつない台所。でも、女の子が一生懸命お母さんを心配させないように、赤ご飯とうぐいす豆を食べたと話しているのを見て、おにたは夢中で寒い外へ飛び出しました。

もどってきたおにたは、女の子に、女の子が食べたとおかあさんに言ったままのごちそうをさしだしたのです。

ぱっと顔が赤くなりにこっと笑った女の子。
でも、次の瞬間、女の子は言ったのです。
「わたしも、まめまきしたいなあ。
 おにがくれば、かあさんの病気はもっと悪くなるわ。」
それを聞いたおにたは……。

作者は「車のいろは空のいろ」のあまんきみこさん。出版年月日から見ると、1969年にこれを書き、その6年後に「ちびっこちびおに」を書いたようです。

「ちびっこちびおに」も、おにたと同じように気のいいおにの子が出てきます。そして、おにたのように無我夢中で子どもを助けましたが、その結果は、おにたとは違うものになりました。

おにたが、つのかくしのぼうしをぬぐことなく、
「おにだって、いろいろあるのに。おにだって……。」
と言って、こおりがとけたようにいなくなるのに対して、
「ちびっこちびおに」は、ぼうしをぬいで、つのを見せてしまい、くったくなく受け入れてくれた子ども達と仲良く遊ぶのです

あまんきみこさんは、「おにた」で書いた、ついにわかりあえなかったままの人間とおにの関係を「ちびおに」ですくってくれたのかな、などと、思ったりします。

おにたがいなくなったあとに、むぎわらぼうしがぽつんと……。そのなかには、あたたかい黒い豆が……。

この話を大勢に読むと、この豆が、おにたか、そうでないかで、解釈がわかれます。

私はやっぱりおにたは豆になったと思うのですが、おにたは女の子に豆をおいて人間の世界に分かれをつげたのだという子もいます。豆になるのは救われなさすぎるといったことから、豆になったのではないと思いたいという人もいました。

結局、どちらもいいのかな…と、今は考えています。

節分というと、真っ先に思い浮かぶ話です。

  (「スランになりたいな」での記事に加筆)


おにたのぼうし
あまんきみこ/ぶん いわさきちひろ/え
出版社名 ポプラ社
出版年月 1969年
ISBNコード 4-591-00529-1
税込価格 1,050円
頁数・縦サイズ 1冊 25cm

鬼ぞろぞろ

中世説話文の「今昔物語集」の中の鬼のつばで姿をけされてしまった男の話をもとに、舟崎克彦が文を書き、赤羽末吉さんが絵をかいた本です。

言葉の雰囲気も含めて楽しもうとするなら中学年ぐらいからが適当かと感じます。

ただ、今は、学校で怪談話をしたりすると、とたんにおうちの方から苦情が入ったりするので、与え方にはちょっと気をつけて…というか、今のところ、自分の子にしか読んでいません(^^ゞ

でも、いい本です。
もともと赤羽末吉さん、大好きなんです。「スーホの白い馬」をはじめ、絵のいろいろな描きかたを追求していた方だったなあと感じています。
この絵本の中世のあやしい感じも赤羽さんの絵によるものが大きいなあ。
舟崎克彦さんの文も今昔物語の簡潔さや緊張感をそこねず巧みだなあと感じます。
いいなあ。

舞台は中世の都。
おおみそかに鬼の行列に会い生きたここちもない男。
「こんな名もないやつを、からかってもおもしろくない。」
と、鬼どもは、つばをはきかけ歩み去っていきます。
ところが、それによって男は姿が人間から見えなくなってしまうのです。

身分が低いと鬼にも相手にしてもらえないんですね。なんというか……厳しいものです。

男は元日の朝から観音様に姿をもとにもどしてもらうために観音堂にこもります。
ところが、腹がへり、おまいり客の弁当を盗み食いをすることに。
そうして、ついには、いろいろな盗みを働くことになるのです。

はじめは、ほんのちょっとした悪さがどんどんエスカレートしていく様子……昔も現在もそういうことってあるのだなあと、感じます。

夜は盗みをして、昼はいっしんにお祈りをする男。
人間の弱さがあらわれています。

男は、盗んだものを溜め込んで、
「これで、観音様がおれのすがたをもとどおりにしてくだされば、いうことなしじゃ」
なんて、あごをさすりながら悦にいっているのです。

人間って身勝手なものですね。こんな男を観音様が救ってなんてくれるはずがない、と、思います。

ところが、ある日、観音様が現れておつげをするのです。
観音堂を出てはじめに出会った者の言うことを聞くがよい、と。

男が出会った者は男をつれまわし、さらにおそろしいことを男にさせようとします。

はじめ気がつかなかったのですが、娘が、男をつれまわす者が実は鬼ではないかと、絵を見て指摘しました。
なるほど、確かにそういわれて見ると、ページをめくるうちに、だんだん角のようなものが生えてきているのです。
これは、赤羽さんの解釈でしょうか?今度今昔物語を読んでみたいと思います。

ところで、最後の最後に男は自分自身をふりかえり、踏みとどまります。

人間の弱さとそして強さの両方を簡潔に表現している絵本です。

             (「スランになりたいな」からのほぼ転載です)



鬼ぞろぞろ
赤羽末吉の本
舟崎克彦/文 赤羽末吉/絵
出版社名 偕成社
出版年月 1979年
ISBNコード 978-4-03-963040-7
(4-03-963040-8)
税込価格 1,890円
頁数・縦サイズ 1冊 27cm

王さまと九人のきょうだい

小学校1年生から読みましたが、どの学年でも楽しんで聞いてくれました。
読み聞かせて失敗したことがない絵本です。

読み聞かせで誰にでも受け入れられるものって、やはり展開のおもしろさがあるものですよね。それに加えて登場人物が魅力的であること。

もちろん、そういったことをこの絵本はそなえています。

話は大昔の中国のイ族の村が舞台となっています。
「子どもがほしい。子どもがほしい。」
と、思いながら過ごしていたおじいさんとおばあさんは。、それを飲めば子どもが生まれるという丸薬を手に入れます。
おばあさんはいっぺんに9つぶの薬を飲んでしまい、9人の赤ん坊が生まれました。

と、ここまではたんたんと進みます。
赤ちゃんの名前は「ちからもち」「くいしんぼう」「はらいっぱい」「ぶってくれ」「ながすね」「さむがりや」「あつがりや」「切ってくれ」「みずくぐり」

いかにも、何かありそうな名前です。
絵を描いた赤羽末吉さんは、ちゃんと書かれた名前の順番に、それぞれの特徴がわかるように赤ちゃんを描いています。ちょっとしたしぐさや、色などで表現しているところはさすがです。
読んであげると、子どもたちは、どの赤ちゃんがどの名前か楽しそうに確かめています。

いっしょにいっぺんに大きくなったこの九人の兄弟。顔も体つきもそっくり同じになりました。(本当は、「あつがりや」と「さむがりや」の二人の絵はちょっとだけ他の兄弟と違うんですけどね)
その兄弟に無理難題をふっかけるのが、みやこにいる王様。

兄弟たちは1人になりすまし、それぞれ名前と同じ能力を生かして、王様がくりだす難題を次々とクリアしていきます。

この展開の話はわりとよくあります。「シナの五人兄弟」などもそうです。やはり権力を持っているものを、弱いものがそれぞれ長所を使って勝つというところが楽しいのかな。(「シナの五人兄弟」、シナという言葉を差別用語として忌避している人もいるので、ちょっと取り上げるのにためらう本ですが、内容はそういうものではありません。でも、忌避している人がいる以上、わざわざ「シナ」という言葉を使う必要はないのかなとは思います)

ところで、この本での、難題のクリアの場面、どの絵もダイナミックでとってもすてきなのですが、読んでいて反応がいちばん楽しかったのは「ながすね」の部分でした。

切り立つようながけの上から谷底めがけて突き落とされた「ながすね」。
そのすねが、しゅうっとのびるのです。
何度もこの本を読みましたが、その絵を見たとき、どの学年の子どもたちからも、必ず、「おおっ」「すごい」と声が出ます。
読んでいて、「やったね」と、思う一瞬です(^^)

読み手も聞き手も文句なく楽しめる一冊。
登場人物のユニークさと筋のおもしろさを、赤羽さんの絵が存分に引き出している絵本だと思います。

ちなみに、この絵本に出てくるイ族とは中国の少数民族の一つです。
訳者の君島久子さんは中国のいろいろな民族の伝承について研究をされている方のようで、岩波の「けものたちのないしょ話」などでも中国の少数民族の話を集め再話しています。

王さまと九人のきょうだい 中国の民話
大型絵本 7
君島久子/訳 赤羽末吉/絵
出版社名 岩波書店
出版年月 1978年
ISBNコード 978-4-00-110557-5
(4-00-110557-8)
税込価格 1,260円
頁数・縦サイズ 1冊 26cm
分類 児童 /創作絵本 /その他日本の絵本


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うさぎのくれたバレエシューズ

ピン助仔猫の「珈琲・紅茶・日本茶」館さんのところで、ほぼ毎日桜の一枝を決めて写真をアップしてくれていました。固いつぼみがだんだんふくらんできて、昨日、ついに開きました。
札幌では、まだまだですが、もう桜の季節になっている地域もあるのですね。日本列島は広いなあ。

桜といえば、この本が好きです。

読んであげるのは、年長さんぐらいからの女の子がいいかなと思います。男の子でもいいと私は思うのですが…。(でも、うちの息子の反応は今ひとつでした)

これまで読んだなかで(そんなにたくさんではないけれど)これほど桜を美しくかいた絵本はありません。
桜のほのかな香りまで感じられる絵本です。

銅版画は南塚直子さん。文をかいた安房直子さんとのコンビでは、ほかにも「やさしいたんぽぽ」「青い花」などすてきな絵本をつくっています。

文の安房直子さんは「きつねの窓」をはじめ、「ライラック通りのぼうし屋」「ゆめみるトランク」など、すてきなファンタジーをたくさんかいている私の大好きな作家です。

バレエをはじめて5年もたつのに一向にうまくならない女の子。でも、音楽がなるとおどりたくてたまらなくなるのです。

上手にできなくても、やっぱり好きでやめられない…上手になりたい…そんな気持ちになることってあったなあ、というか、あるなあ。きっと子どもたちにもそんな経験のある子っていますよね。

上手になりたいと願っていた女の子のもとにバレエシューズが届きます。女の子は、そのバレエシューズをはいて山のくつやのもとに行きます。
くつやは満開の桜の木の中にあるのです。

その桜の美しいこと……。
そして、その木の下でうさぎたちとおどり、おどり終わったときに花びらが散っていく様子の幻想的なこと……。

家にもどった女の子はうさぎとおどった感じを忘れず風のようにちょうのように、花のようにおどることができるようになります。

女の子の思いの深さがうさぎたちの気持ちを動かしたのでしょうか。
幻想的な絵とともに、思いを持ちつづけることの大切さも心に残る1冊です。

大型絵本も出ています。
うさぎのくれたバレエシューズ
安房直子/文 南塚直子/絵
出版社名 小峰書店
出版年月 1989年10月
ISBNコード 4-338-06911-2
税込価格 1,365円
頁数・縦サイズ 1冊 28cm


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くっくです。この名前、鳥ということでつけたほかはなんの意味もありませんが、気にいってます。カウンターの数字は「スランになりたいな」からのものです。数字が消えてしまうのはちょっと悲しかったので……。「スランの本棚」のカウンターはこれから7700をひいたものです(^^ゞ

キアです。ヴォクトの「スラン」に出てくるなかなか重要な登場人物キア・グレイの名前から拝借しました。ペットの名前に使われたと知ったら怒られそうです。
スランについて
ブログ「スランの本棚」のスランはヴォクトの古典的名作SF「スラン」からとりました。 スランというのは、新人類で、人の心を読むことができたり、知覚力や知力が現(?)人類よりはるかにうわまわっています。迫害され、表舞台からは姿をけしています。主人公のジョン・トマス・クロスはまだ9歳のスランの少年。人類や無触毛スラン(スランには触毛があるんです)に対して憎悪を持ちながらも、成長し能力が成熟していくなかで共存の道を模索していきます。 ね、なかなかいい感じでしょう。 前の「スランになりたいな」を始めるときに、たまたま「スラン」を読み返していたため勢いでつけました。勢いでつけたわりには気にいっています。 でも、この「スラン」絶版になっています。さびしいなあ。 ちなみに、昔アニメにもなった竹宮恵子の「地球へ」の主人公、ジョミーは、この「スラン」の主人公ジョン・トマス・クロス にちなんでいるそうです
                
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