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鬼ぞろぞろ
- 2008.01.17 Thursday
- 作者名 あ
- 13:44
- comments(4)
- trackbacks(0)
- by ぱいぽ
中世説話文の「今昔物語集」の中の鬼のつばで姿をけされてしまった男の話をもとに、舟崎克彦が文を書き、赤羽末吉さんが絵をかいた本です。
言葉の雰囲気も含めて楽しもうとするなら中学年ぐらいからが適当かと感じます。
ただ、今は、学校で怪談話をしたりすると、とたんにおうちの方から苦情が入ったりするので、与え方にはちょっと気をつけて…というか、今のところ、自分の子にしか読んでいません(^^ゞ
でも、いい本です。
もともと赤羽末吉さん、大好きなんです。「スーホの白い馬」をはじめ、絵のいろいろな描きかたを追求していた方だったなあと感じています。
この絵本の中世のあやしい感じも赤羽さんの絵によるものが大きいなあ。
舟崎克彦さんの文も今昔物語の簡潔さや緊張感をそこねず巧みだなあと感じます。
いいなあ。
舞台は中世の都。
おおみそかに鬼の行列に会い生きたここちもない男。
「こんな名もないやつを、からかってもおもしろくない。」
と、鬼どもは、つばをはきかけ歩み去っていきます。
ところが、それによって男は姿が人間から見えなくなってしまうのです。
身分が低いと鬼にも相手にしてもらえないんですね。なんというか……厳しいものです。
男は元日の朝から観音様に姿をもとにもどしてもらうために観音堂にこもります。
ところが、腹がへり、おまいり客の弁当を盗み食いをすることに。
そうして、ついには、いろいろな盗みを働くことになるのです。
はじめは、ほんのちょっとした悪さがどんどんエスカレートしていく様子……昔も現在もそういうことってあるのだなあと、感じます。
夜は盗みをして、昼はいっしんにお祈りをする男。
人間の弱さがあらわれています。
男は、盗んだものを溜め込んで、
「これで、観音様がおれのすがたをもとどおりにしてくだされば、いうことなしじゃ」
なんて、あごをさすりながら悦にいっているのです。
人間って身勝手なものですね。こんな男を観音様が救ってなんてくれるはずがない、と、思います。
ところが、ある日、観音様が現れておつげをするのです。
観音堂を出てはじめに出会った者の言うことを聞くがよい、と。
男が出会った者は男をつれまわし、さらにおそろしいことを男にさせようとします。
はじめ気がつかなかったのですが、娘が、男をつれまわす者が実は鬼ではないかと、絵を見て指摘しました。
なるほど、確かにそういわれて見ると、ページをめくるうちに、だんだん角のようなものが生えてきているのです。
これは、赤羽さんの解釈でしょうか?今度今昔物語を読んでみたいと思います。
ところで、最後の最後に男は自分自身をふりかえり、踏みとどまります。
人間の弱さとそして強さの両方を簡潔に表現している絵本です。
(「スランになりたいな」からのほぼ転載です)
鬼ぞろぞろ
赤羽末吉の本
舟崎克彦/文 赤羽末吉/絵
出版社名 偕成社
出版年月 1979年
ISBNコード 978-4-03-963040-7
(4-03-963040-8)
税込価格 1,890円
頁数・縦サイズ 1冊 27cm
言葉の雰囲気も含めて楽しもうとするなら中学年ぐらいからが適当かと感じます。
ただ、今は、学校で怪談話をしたりすると、とたんにおうちの方から苦情が入ったりするので、与え方にはちょっと気をつけて…というか、今のところ、自分の子にしか読んでいません(^^ゞ
でも、いい本です。
もともと赤羽末吉さん、大好きなんです。「スーホの白い馬」をはじめ、絵のいろいろな描きかたを追求していた方だったなあと感じています。
この絵本の中世のあやしい感じも赤羽さんの絵によるものが大きいなあ。
舟崎克彦さんの文も今昔物語の簡潔さや緊張感をそこねず巧みだなあと感じます。
いいなあ。
舞台は中世の都。
おおみそかに鬼の行列に会い生きたここちもない男。
「こんな名もないやつを、からかってもおもしろくない。」
と、鬼どもは、つばをはきかけ歩み去っていきます。
ところが、それによって男は姿が人間から見えなくなってしまうのです。
身分が低いと鬼にも相手にしてもらえないんですね。なんというか……厳しいものです。
男は元日の朝から観音様に姿をもとにもどしてもらうために観音堂にこもります。
ところが、腹がへり、おまいり客の弁当を盗み食いをすることに。
そうして、ついには、いろいろな盗みを働くことになるのです。
はじめは、ほんのちょっとした悪さがどんどんエスカレートしていく様子……昔も現在もそういうことってあるのだなあと、感じます。
夜は盗みをして、昼はいっしんにお祈りをする男。
人間の弱さがあらわれています。
男は、盗んだものを溜め込んで、
「これで、観音様がおれのすがたをもとどおりにしてくだされば、いうことなしじゃ」
なんて、あごをさすりながら悦にいっているのです。
人間って身勝手なものですね。こんな男を観音様が救ってなんてくれるはずがない、と、思います。
ところが、ある日、観音様が現れておつげをするのです。
観音堂を出てはじめに出会った者の言うことを聞くがよい、と。
男が出会った者は男をつれまわし、さらにおそろしいことを男にさせようとします。
はじめ気がつかなかったのですが、娘が、男をつれまわす者が実は鬼ではないかと、絵を見て指摘しました。
なるほど、確かにそういわれて見ると、ページをめくるうちに、だんだん角のようなものが生えてきているのです。
これは、赤羽さんの解釈でしょうか?今度今昔物語を読んでみたいと思います。
ところで、最後の最後に男は自分自身をふりかえり、踏みとどまります。
人間の弱さとそして強さの両方を簡潔に表現している絵本です。
(「スランになりたいな」からのほぼ転載です)
鬼ぞろぞろ
赤羽末吉の本
舟崎克彦/文 赤羽末吉/絵
出版社名 偕成社
出版年月 1979年
ISBNコード 978-4-03-963040-7
(4-03-963040-8)
税込価格 1,890円
頁数・縦サイズ 1冊 27cm
長いこと音信不通でごめんなさい
- 2008.01.14 Monday
- ぱいぽのひとりごと
- 12:23
- comments(2)
- trackbacks(0)
- by ぱいぽ
長いことご無沙汰してしまいました。コメントもたくさんいただいていて申し訳ありません。
あのあと、大腸憩室炎になり、1か月ほどごたごたしてしまいました。その後もなかなか意欲がわかず、ふと気づくとこんなにご無沙汰していました。
コメントをいただいた方たちには、後日ぽつぽつとうかがいたいと思います。
これからは、「気づくと更新していた」というようなブログになると思いますが、もし気が向いたら目を通していただけるとうれしいです。
あのあと、大腸憩室炎になり、1か月ほどごたごたしてしまいました。その後もなかなか意欲がわかず、ふと気づくとこんなにご無沙汰していました。
コメントをいただいた方たちには、後日ぽつぽつとうかがいたいと思います。
これからは、「気づくと更新していた」というようなブログになると思いますが、もし気が向いたら目を通していただけるとうれしいです。
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くっくです。この名前、鳥ということでつけたほかはなんの意味もありませんが、気にいってます。カウンターの数字は「スランになりたいな」からのものです。数字が消えてしまうのはちょっと悲しかったので……。「スランの本棚」のカウンターはこれから7700をひいたものです(^^ゞ
キアです。ヴォクトの「スラン」に出てくるなかなか重要な登場人物キア・グレイの名前から拝借しました。ペットの名前に使われたと知ったら怒られそうです。
- スランについて
- ブログ「スランの本棚」のスランはヴォクトの古典的名作SF「スラン」からとりました。 スランというのは、新人類で、人の心を読むことができたり、知覚力や知力が現(?)人類よりはるかにうわまわっています。迫害され、表舞台からは姿をけしています。主人公のジョン・トマス・クロスはまだ9歳のスランの少年。人類や無触毛スラン(スランには触毛があるんです)に対して憎悪を持ちながらも、成長し能力が成熟していくなかで共存の道を模索していきます。 ね、なかなかいい感じでしょう。 前の「スランになりたいな」を始めるときに、たまたま「スラン」を読み返していたため勢いでつけました。勢いでつけたわりには気にいっています。 でも、この「スラン」絶版になっています。さびしいなあ。 ちなみに、昔アニメにもなった竹宮恵子の「地球へ」の主人公、ジョミーは、この「スラン」の主人公ジョン・トマス・クロス にちなんでいるそうです
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