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おにたのぼうし
- 2008.02.03 Sunday
- 作者名 あ
- 20:38
- comments(8)
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- by ぱいぽ
低学年から読みました。昔、3年生の教科書にのっているのを見たことがあります。
節分の夜。
気のいい、小さなくろおにの子「おにた」は、住処に豆まきをされ、出ていくことになりました。
「人間っておかしいなあ。おには悪いって決めているんだから。おににも、いろいろあるのにな。」
つのかくしの古いむぎわらぼうしをかぶって雪のまちを歩きまわり、ようやく豆やヒイラギのない家を見つけました。
そこは女の子と病気のお母さんが住んでいる貧しい家でした。食べるものひとつない台所。でも、女の子が一生懸命お母さんを心配させないように、赤ご飯とうぐいす豆を食べたと話しているのを見て、おにたは夢中で寒い外へ飛び出しました。
もどってきたおにたは、女の子に、女の子が食べたとおかあさんに言ったままのごちそうをさしだしたのです。
ぱっと顔が赤くなりにこっと笑った女の子。
でも、次の瞬間、女の子は言ったのです。
「わたしも、まめまきしたいなあ。
おにがくれば、かあさんの病気はもっと悪くなるわ。」
それを聞いたおにたは……。
作者は「車のいろは空のいろ」のあまんきみこさん。出版年月日から見ると、1969年にこれを書き、その6年後に「ちびっこちびおに」を書いたようです。
「ちびっこちびおに」も、おにたと同じように気のいいおにの子が出てきます。そして、おにたのように無我夢中で子どもを助けましたが、その結果は、おにたとは違うものになりました。
おにたが、つのかくしのぼうしをぬぐことなく、
「おにだって、いろいろあるのに。おにだって……。」
と言って、こおりがとけたようにいなくなるのに対して、
「ちびっこちびおに」は、ぼうしをぬいで、つのを見せてしまい、くったくなく受け入れてくれた子ども達と仲良く遊ぶのです
あまんきみこさんは、「おにた」で書いた、ついにわかりあえなかったままの人間とおにの関係を「ちびおに」ですくってくれたのかな、などと、思ったりします。
おにたがいなくなったあとに、むぎわらぼうしがぽつんと……。そのなかには、あたたかい黒い豆が……。
この話を大勢に読むと、この豆が、おにたか、そうでないかで、解釈がわかれます。
私はやっぱりおにたは豆になったと思うのですが、おにたは女の子に豆をおいて人間の世界に分かれをつげたのだという子もいます。豆になるのは救われなさすぎるといったことから、豆になったのではないと思いたいという人もいました。
結局、どちらもいいのかな…と、今は考えています。
節分というと、真っ先に思い浮かぶ話です。
(「スランになりたいな」での記事に加筆)
おにたのぼうし
あまんきみこ/ぶん いわさきちひろ/え
出版社名 ポプラ社
出版年月 1969年
ISBNコード 4-591-00529-1
税込価格 1,050円
頁数・縦サイズ 1冊 25cm
節分の夜。
気のいい、小さなくろおにの子「おにた」は、住処に豆まきをされ、出ていくことになりました。
「人間っておかしいなあ。おには悪いって決めているんだから。おににも、いろいろあるのにな。」
つのかくしの古いむぎわらぼうしをかぶって雪のまちを歩きまわり、ようやく豆やヒイラギのない家を見つけました。
そこは女の子と病気のお母さんが住んでいる貧しい家でした。食べるものひとつない台所。でも、女の子が一生懸命お母さんを心配させないように、赤ご飯とうぐいす豆を食べたと話しているのを見て、おにたは夢中で寒い外へ飛び出しました。
もどってきたおにたは、女の子に、女の子が食べたとおかあさんに言ったままのごちそうをさしだしたのです。
ぱっと顔が赤くなりにこっと笑った女の子。
でも、次の瞬間、女の子は言ったのです。
「わたしも、まめまきしたいなあ。
おにがくれば、かあさんの病気はもっと悪くなるわ。」
それを聞いたおにたは……。
作者は「車のいろは空のいろ」のあまんきみこさん。出版年月日から見ると、1969年にこれを書き、その6年後に「ちびっこちびおに」を書いたようです。
「ちびっこちびおに」も、おにたと同じように気のいいおにの子が出てきます。そして、おにたのように無我夢中で子どもを助けましたが、その結果は、おにたとは違うものになりました。
おにたが、つのかくしのぼうしをぬぐことなく、
「おにだって、いろいろあるのに。おにだって……。」
と言って、こおりがとけたようにいなくなるのに対して、
「ちびっこちびおに」は、ぼうしをぬいで、つのを見せてしまい、くったくなく受け入れてくれた子ども達と仲良く遊ぶのです
あまんきみこさんは、「おにた」で書いた、ついにわかりあえなかったままの人間とおにの関係を「ちびおに」ですくってくれたのかな、などと、思ったりします。
おにたがいなくなったあとに、むぎわらぼうしがぽつんと……。そのなかには、あたたかい黒い豆が……。
この話を大勢に読むと、この豆が、おにたか、そうでないかで、解釈がわかれます。
私はやっぱりおにたは豆になったと思うのですが、おにたは女の子に豆をおいて人間の世界に分かれをつげたのだという子もいます。豆になるのは救われなさすぎるといったことから、豆になったのではないと思いたいという人もいました。
結局、どちらもいいのかな…と、今は考えています。
節分というと、真っ先に思い浮かぶ話です。
(「スランになりたいな」での記事に加筆)
おにたのぼうし
あまんきみこ/ぶん いわさきちひろ/え
出版社名 ポプラ社
出版年月 1969年
ISBNコード 4-591-00529-1
税込価格 1,050円
頁数・縦サイズ 1冊 25cm
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くっくです。この名前、鳥ということでつけたほかはなんの意味もありませんが、気にいってます。カウンターの数字は「スランになりたいな」からのものです。数字が消えてしまうのはちょっと悲しかったので……。「スランの本棚」のカウンターはこれから7700をひいたものです(^^ゞ
キアです。ヴォクトの「スラン」に出てくるなかなか重要な登場人物キア・グレイの名前から拝借しました。ペットの名前に使われたと知ったら怒られそうです。
- スランについて
- ブログ「スランの本棚」のスランはヴォクトの古典的名作SF「スラン」からとりました。 スランというのは、新人類で、人の心を読むことができたり、知覚力や知力が現(?)人類よりはるかにうわまわっています。迫害され、表舞台からは姿をけしています。主人公のジョン・トマス・クロスはまだ9歳のスランの少年。人類や無触毛スラン(スランには触毛があるんです)に対して憎悪を持ちながらも、成長し能力が成熟していくなかで共存の道を模索していきます。 ね、なかなかいい感じでしょう。 前の「スランになりたいな」を始めるときに、たまたま「スラン」を読み返していたため勢いでつけました。勢いでつけたわりには気にいっています。 でも、この「スラン」絶版になっています。さびしいなあ。 ちなみに、昔アニメにもなった竹宮恵子の「地球へ」の主人公、ジョミーは、この「スラン」の主人公ジョン・トマス・クロス にちなんでいるそうです
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